あわび
鮑、鰒、蚫
abalone
軟体動物門 腹足綱 前鰓亜綱 古腹足目 ミミガイ科
日本産あわび類は10種、そのうち「あわび」と呼ばれるものは4種 クロアワビ、エゾアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ。
分布:日本海側ではクロアワビ・メガイアワビ・マダカアワビの3種が青森から北海道南部まで棲息しますが、太平洋側では茨城南部までで、それより北の福島・宮城・岩手県までは千島海流の影響でエゾアワビのみ棲息。
横須賀市では長井・大楠漁港中心に年間7tの漁獲量があります(神奈川農林水産統計年報 平成18年の生産量 参照)。
横須賀市ではクロアワビ、マダカアワビ、メガイアワビが漁獲されますが、その約9割が種苗放流したものと言われています。
アワビの旬は身の太る夏
アワビの産卵は水温が20度位になると始まります。素潜り漁は、漁協によって解禁日が違いますが、海水が温かくなる7月ころから本格化します。産卵が近づくと食欲が減るので、クロアワビなどヨコスカ産あわびの旬は身の太る今、夏です。
高級食材
豊富なタンパク質とカルシウムのほか、鉄をはじめとするミネラルが多く含まれています。なかでも、視力増進や目の発達を助けるタウリンが非常に多いです。また、あわびに多く含まれるタンパク質の一種コンドロイチンは、関節や軟骨の水分と弾力性を保って老化を防ぐはたらきがあるほか、体力増強作用のあるアルギニン、美肌効果のあるコラーゲンなど、すぐれた栄養素も多く、高価な食材です。
「あわび資源回復計画」中
県内のアワビの漁獲量の8割を占める三浦半島地区に漁業者の協力を得てアワビの保護区を設け、漁獲量を今後10年間で倍にするという「アワビ資源回復計画」を2006年、県水産課がまとめました。
具体的には、横須賀、三浦両市内の漁業協同組合との間で、同半島の相模湾側に周年禁漁のアワビ保護区を計4ヵ所設定。期間は2006年度から10年度までの5年間。その間に殻の大きさが5cm程度の比較的大型の種苗を毎年放流して 「親貝場」として保全。天然の海でアワビの個体が増えるよう促すということです。
計画終了後も実質的に禁漁を継続。さらにこれまで行われてきた稚貝の放流と組み合わせることで、10年後の資源量を現在の推定18㌧から36㌧に増やすことを目指しています。
県は 「親貝」となるアワビを放流する漁協に対して06年度から5年間、放流事業費の一部を(上限は費用の3分の1)を補助。さらに、保護区での密漁を防ぐため、漁業調整委員会で罰金を設けることも検討。
県水産課によると、1955年に83㌧を記録した県内のアワビの漁獲量は近年、20㌧から10㌧台に低迷。「高値で取引されたバブル期に親貝をとりつくしてしまったことが原因」(同課)とみられ、稚貝の放流事業だけに頼っていては抜本的な資源回復は見込めないと判断。漁業者と協力して保護区を設け、「天然のアワビ」を増やすことが目的です。(平成18年3月23日 神奈川新聞参照)